非常に完成度の高い読み物です。

ロケット開発で失敗した佃さんは責任を取らされ、居場所が無くなり、
宇宙科学開発機構を辞め実家の工場を継ぐところから始まる。。

下町の中小企業として小型エンジンを作っている佃さんの会社は
競合の大手企業(ナカシマ工業)から特許抵触として訴えられてしまう。
しかしそれはナカシマ工業の戦略として
資本体力の無い企業を無理やり訴えてつぶしてしまうやり方だった。
自社存続のため佃さんは資金、訴訟の対応に奔走する

かなり速い展開で窮地に追い込まれ、その対応に迫られていきます。
そこからの逆転劇がメインの小説かと思ったら
そこはまだ序章でしかなくタイトルの通り(?)
ロケットへの夢を追いかけていくことが話の主軸になります。
佃さんの会社が国内でロケットエンジンを作っている大企業(帝国重工)に先んじて
取得したエンジンバルブの特許によって話が展開されていく。
帝国重工が下町企業を見下した扱いで特許売却を要求するが
それに反発しながらエンジンバルブを自分達で作り供給することを目指す

私としてはまず佃さんはナカシマ工業そのやり方は汚いとして
最初から正義という言葉を振りかざしていたけど
企業間のやり取りなので正義という言葉が当てはまるものかと
何か違和感を感じました。
しかし、話が進みナカシマ工業がわかってくるにつれ
確かにあくどいやり方だと理解しました。

帝国重工のいやらしいやり口に対しても毅然な態度で応じ
自分達の主張を勝ち取ります。

勧善懲悪という言葉が一致するとも思えませんが
それに近い内容であり、
中小企業が大企業に勝つという痛快な物語でした。

直木三十五賞を受賞し、三上博史さん主演でドラマ化もされていますね。


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