池井戸先生の中小企業ものです。
行田の足袋屋さんの話ですが実際にモデルとなった会社があるようです。
ちなみに同じく池井戸先生の中小企業ものの「下町ロケット」はモデルが存在しない完全なフィクションのようです。

100年続いている老舗足袋メーカーのこはぜ屋は足袋だけでやってきたが、市場の先細りに悩んでいた。足袋以外の新商品開発について取引銀行の担当者坂本に促される。たまたま五本指のシューズを見かけたことがきっかけとなり新商品について検討が始まる。
そこから様々な人とのつながりを経て、新商品「陸王」が完成し量販されるまでの製品となる。

ランニングインストラクターの有村から、人間本来の走りはかかとからの着地ではなくフォアフット、ミッドフットでありその方が怪我が少なくなるだろうと教えられる。こはぜ屋の社長宮沢は昔こはぜ屋で作られたことのあるマラソン足袋を改良し、人間本来の走りであるミッドフットをコンセプトに新商品「陸王」の開発に取り掛かる。
小学校のシューズのコンペに参加したところ、シューズのソールに課題があり落ちてしまう。そうしたところ、ソールの素材として使えそうな技術の特許を持つ飯村を坂本から紹介されプロジェクトに顧問として参加する。
その後、業界ではカリスマ的存在のシューフィッターである村野がプロジェクトにアドバイザーとして参加することとなった。ちょうど故障中でフォーム改良中のマラソンランナー茂木に履いてもらいたいとの宮沢の意向から、本格的に茂木専用モデルを作ることになる。
茂木からのフィードバックによりシューズのアッパー素材を見直すこととなる。そこへ取引銀行の新担当大橋からアッパー素材に使えそうな技術を持つ会社タチバナラッセルを紹介され、そこの生地を使うことに決める。
これらのような人のつながりを経て「陸王」が完成する。

やはり池井戸作品というべきか、「下町ロケット」のように大企業対中小企業のような戦いとなり、こはぜ屋は大企業からの嫌がらせを受けます。それでも最後は勝つところは醍醐味ですね。また、銀行からもなかなか支援を受けられず苦労します。こちらに関しても最後には銀行を見返すところも同じですね。


陸王

  • 作者: 池井戸 潤
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2016/07/08
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)